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擂鉢をと思い、目を立てる道具を作った。
下敷きを円にカットし周囲をピンキング鋏で。
擂鉢
形
原型とされる形状は6世紀の遺跡から出土の須恵器。
その形状は口狭く、高さあり、スカート高台。
外国の擂鉢は、香辛料と食材の粉砕に特化している。
日本では薬品用、食材用と大きく2分している。
薬品擦る乳鉢乳棒。食材擂る陶器の擂鉢と擂粉木。
製粉
杵と臼が脱穀から精白、製粉までと幅広く担うが殻などが残ってしまう。
更に穀物を研ぎ微細に粉砕する為、少ない櫛目の擂鉢が使われる。
かつて擂鉢は擂粉鉢(すりこばち)、擂粉木は擂粉杵と呼ばれ、
その名前からも製粉にかかせない道具だったとわかる。
櫛目の進化
鎌倉時代、製粉専用道具に石臼が使われ始め、
室町時代から江戸時代には一般に広まるようになる。
擂鉢は穀物以外を擂る道具となってゆく。
この事で製粉時には少なかった櫛目は増えてゆく。
鎌倉時代では数本。粉食が盛んになる室町時代後期、
細かい櫛目が施され、江戸では現在の様、隙間ない櫛目となる。
擂鉢の普及
擂鉢の進化で料理が開花する室町時代。
胡麻、胡桃など油分の多い木の実を細かく砕き
白和え、胡麻和え、胡桃和え。魚の身をすり蒲鉾など
なめらかな舌ざわりに仕上げる役を果たす。
また粒味噌を擂り潰し、濾す味噌汁は、
擂鉢の普及で広く食されることとなる。
櫛目へ思い至るこのことこそがものつくりと思う。
美しいことは深い所以ありながらも知られることなく
道具としてこうして生き残っていることかもしれない。